vol.023It's about life! (それが人生!)
バブル崩壊後、すでに10年が過ぎ、同時に長く続いた米ソの冷戦も終了、長らく続いたイデオロギー論争にも終止符が打たれ、今、まさに時代はミクロ的にもマクロ的にも次代の新しい秩序の模索に懸命だ。
大きく見れば、世界各地で起こっている地域紛争や一般人をターゲットにした世界規模のテロ、一部の特殊国家から受ける直接的な被害や脅威、国連中心主義への動き、原因不明の新しい疫病の蔓延、世界同時株安...
政治改革、行政改革、税制改革、教育改革、司法改革、医療改革、年々低下する犯罪検挙率、若年層による凶悪犯罪の多発、少子高齢化問題、年金問題、保健問題、郵政民営化、道路公団民営化...
小さく見れば、リストラ、減給、ひきこもり、家庭内別居、児童虐待、国産と明記された輸入食材、訳の分からない携帯電話の料金体系とサービス内容、どこ選んでいいのか分からないインターネットプロバイダ、などなど...
こうして見てみると、大きな動きも小さな動きも、身近な動きも、遠い彼方の動きも、実はみんな自分達の生活に直結していたりする...いわゆるグローバリゼーションという言葉で表現される世界規模における複雑化した連鎖、そんな中で我々は今、この瞬間を生きている。こうしてツラツラと書き上げてみると、何かすごい不安の中に生きているような気もしないでもないが、決してそんなことを言いたい訳ではない。それが人生!っていうことをいいたいのだ。
実は上述した様々な動きは個別に見れば最近顕在化した問題ではあるが、歴史的に見れば人類はあらゆる時代の中で様々な問題と戦ってきたわけで、その大きな流れの中の「今」という時を生きているに過ぎない。その時代時代の背景、つまりはライフスタイルに合わせて社会が整備されていっているだけの話なのである。社会の整備は基本的に法律、国際法などの約束事によって定められる訳だが、少々難しい話をすると日本最初の法律といわれている「大宝律令」が制定されたのが、701年である事を考えると、日本という社会においてはそれまで体系だったルールがなかったということであり、同時に701年以降はそのルールによってあらゆる生活の規則が定められた、つまりは生活自体にものすごく大きな変化が起こった、ということになる。法律に反すれば当然罰せられるし、法律を守る事自体が生活になるということ。反対に701年以前は「法律」という概念がなかったという事になるわけだから、その時代の混迷さは推して知る事ができるだろう。
どんな時代であれ、自分の感情、そして人間に本来備わっているべき性善さ、道徳心、慈しみの心、等々がそんな法律を醸造していったということもまた事実であろう。時代の流れに応じて、人の価値観は大きく変わる。そんな中において、またどんな時代においても自分自身が「何が大切で、何が正しいのか、何をすべきなのか」ということを主体的に考える事がつまりは「人生」ということではあるまいか。
現代人の生活を大きく変えているテクノロジー。これは18世紀にイギリスで始まった産業革命の継続に過ぎない。技術を用いた農機や織機が開発されれば、持つ者と持たざる者との間には巨大な格差が生じ、人間生活自体に新しいモラルが生まれる。自動車が開発されれば商圏や文化交流の枠が一挙に広がる。同時に事故も起こり新たな法律の整備が不可欠となる。
現代に置き換えると、最も大きなテクノロジーの一つが携帯電話であろう。携帯電話や携帯メールの登場による事件、あるいは携帯電話がその事件自体の病巣になっている、というような論調もしばしば聞かれる。しかしながら携帯電話の登場によるメリットのほうがよっぽど多いはず。携帯電話により、犯罪発見から通知まで時間が飛躍的に短くなっている事は言うまでもない事実であろうし、災害や事故を起こした際の対応も格段の進化を遂げているはずだ。
過日の新聞に、高校野球球児の人口が年々増加している、という記事があった。少子高齢化や携帯ブーム、TVゲームブームにより「クラブ離れ」「運動離れ」が叫ばれている中、全く持って喜ばしい話であり、その背景にある業界関係者達のコツコツとした適切な努力が私には強く感じ取れる。イチロー、マツイなどの大活躍の陰に、コツコツと努力している人々がいる、現場で汗を流している人がいる、そんな活動がこの「偉業」を成し遂げたのだと確信している。
どんな時代においても問題や不安は山ほどある。大きな動きを直接コントロールする事は難しいように感じるが、人間の持っている本質的な能力の蓄積によりいくらでもよくなるのが社会というものだろう。
何はともあれ、目の前の問題や不安に対して逃げることなく、コツコツといい方向に向かって努力する事。それが社会に貢献していく事に直結する。むしろ私は「人生とはびっくりするような出来事の連続」と思っており、だからこそ何事にも勇敢に立ち向かうべきだと思って腹をくくっている... それが人生ということではないだろうか。そんな一人一人の人生が社会の大きな動きを作り、世界をいい方向へ導くのだと私は信じている。