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社長コラム:PRESIDENT’S COLUMN

vol.0372010 米国出張報告

米国アンダーアーマー社(以下UA社)ケビン社長より誘いを受け、3月某日、アメリカはユタ州にあるパークシティーという街へ、 今手専務、外山部長とともに出張してまいりましたので報告いたします。
結論として、UA社との今後の大きな取組み、戦略的パートナーとしての関係性構築に向けた枠組み的な合意、
ケビンと個人的に「よし、やろう!」という気持ち、方向性を共有できました。以下、詳細をご高覧ください。

【目的】
グローバル展開におけるUA社との戦略的パートナーシップ構築に向け、ベースの考え方を共有する。
...的な話題を皆でスキーをしながら話し合う。

【成果】
ほぼ完璧にクリア。今回のようにスポーツを絡めて話をするのはとても効果的。ともに汗を流し、勇気を持って急斜面に
挑み、競い合うことなどを通じ、より深い価値観の共有を図れ、それをベースに胸襟を開いて様々な話をすることができました。反面、胸襟を開き、腹蔵なく話し合える信頼関係というのは一朝一夕ではできない、というのも実感。
ローマは一日してならず。
一日でできたブランドは一日で消える...by安田 百里の道も一歩から、引き続きコツコツと頑張ってまいります。

【詳細】
■ソルトレークシティー到着
ドーム戦士、3名がソルトレークシティー空港に到着、アメリカ人の出迎えでひとまずケビンたちが来るFBO(Fixed Base Operation...本来的には給油設備など空港の一部施設を民間航空会社に貸与している場所を示すが、米国ではプライベートジェット専用ターミナルを示すことが多い)に向かう。ケビンのプライベートジェットからケビン、アパレル部門トップのピート、セールス部門トップのアダムなど、UA戦士の面々が空港に降り立つ。

彼らの住むボルチモアから...ちょっとシカゴに立ち寄り...ということで約5時間の旅だったらしいが、このジェットなら快適な旅に決まっている。FBOでさっと荷降ろしをして、飛行機の真横まで来たお迎えの車に乗り、いざパークシティーへ。荷物検査も何もなく、車に乗ったままゲートを一つ抜けたらそのまま公道へ。とにかく早くて便利。

この辺、米国の底力...計画的なインフラ整備思考、合理性の追求などを感じ、強烈に感心。日本では、いろんな規制があってとてもこんな運営できないんじゃないかなあ...などと勝手に考える。(日本は5時間もあれば、アジアの主要都市への航空アクセスが網羅できる。アジアの国々と発展的な連携、アジアを内需として取り組む...というのが政府の成長戦略の根幹であればFTAはもとより、この辺の環境整備がとても大事だと思う。アメリカではNYからLAまで7時間前後かかります。そこを行ったり来たりする環境、個人の活力が価値を創る。話は飛ぶが古代の交易路"シルクロード"が果たした役割を考えると、広義での"道"の価値は偉大だと思います)

前記したFBOなど、環境整備がされたらジェットが欲しい! などと思ってしまった。あんなに便利であれば、あまり好きではない...進んでは行きたくない...本当は大っ嫌いな海外出張が全く嫌いでなくなるのでは、と思った。フェイス・トゥー・フェイスのコミュニケーションの重要性を肌で感じるも、それに伴う困難性、時間的ロスや固定されるスケジュールなどが精神的な障害となり、ついついサボりがちになることは否めない。より効率よい仕事ができるよう、もっと頑張ってもっと稼ごう、との欲望を心に秘める。

■ホテルチェックイン
ソルトレークシティーから車で約40分、冬のリゾート地、パークシティーに到着。ホテルは昨年オープンしたばかりのSR ホテル。不況、不況とも言われている昨今のアメリカであるが、この高級リゾートホテルは満室状態。外には温水プール、ジャグジーがあり、レストランでのディナーはもちろんのこと、朝食やランチまでも東京やNYの高級ホテルかのような、サービスと質を誇っていた。

ケビンの好意で、我々ドーム戦士3名に、UAのスキーウエア一式が完璧に準備されていた。ソックスから帽子まで、日本では未展開の商品群ゆえ、ケビンに頼ることとなったが、この辺の対応の早さ、正確さがスポーツビジネスには欠かせない。かなりご満悦状態で、いざ、ゲレンデへ!

■スキー
ケビンたち米国人のコンペティティブな性質(競争心旺盛...負けず嫌い)は何をやっても明確である。一緒にスキーをやるのは初めて。つまり「どっちが上手いか」という暗黙の戦いが参加表明した時点から始まっている。ケビンは強豪大学からスカラシップをもらって入学しているスポーツエリート、私も遠い昔には日の丸を背負って試合をしたこともある...「負けられない!」と、たかがスキーにも関わらず、自身もなんともやっかいな負けず嫌いな性質である。

滑り出す前、かなり上から目線でケビンいわく「アンダーアーマーのスキーはこうだ! Fastだ!!」 とジェスチャーを交えて煽ってくる。たかがスキー...とはケビンも思っていない様子であった。まず、ケビンを先頭に、リフト乗り場まで50mほどの斜面を滑り出す。「お、なかなかやるぞ!」というのが第一印象。アメリカ人の後について普通に滑り降り、待ってたケビンいわく「おー、なかなか上手いじゃないか!上から競争だな!」と、彼の脳内はいつでも競争の文字が充満している。ただ次の瞬間、ぎこちなく滑り降りてくる今手専務を見たケビンが、「おぅ...Yoshi(今手専務のニックネーム)はXXみたいなスキーじゃないか!!」という悲鳴にも近い落胆の声が。

...と、ケビンたちと、激しいスキー競争をしたのは最初だけ、あとはずっと今手専務へのスキー教室をしていました。ケビンはリフト上で「俺もスキーを再開したのは最近だよ。スキーはいい。大自然の中で、限界ギリギリのコントロールで、自分の勇気に挑戦する。UAビジネスと同じだ! おまけに最高のエクササイズ、太ももがカッチカチだよ!」とコメント。なるほど、そう思うとより積極的に、自分との戦いとしてスキーをしてみたくなる。人生とスポーツは色んな意味で重なり合っているなあ、と実感。結果、スキーの実力は、ケビンの方がちょっと上手かった。日本で練習を積んで、来年リベンジです。

■ミーティング
ケビンとの話は商品一部一部の詳細、社員一人ひとりのパーソナリティーなど、細かいところに入ったり大きな将来像の話をしたり、文字通り多岐にわたるものである。今回は特に、人生論についての話が機軸であった。

通常の企業戦略、企業提携などと違うところ...お互いの価値観を信頼し、エゴという怪物を自覚し、母国の状況を理解・尊重する、というベースがある。この点、ドームとUA社の関係性には大きなアドバンテージがある。 信頼とは英語にするとCredit。クレジットカードは人としての信頼をベースにビジネスが成り立っている。つまり、信頼関係とはそれだけで価値があるもの。深い信頼関係を構築、それを貫徹できる人生を歩むべく、精進と切磋琢磨を通じて人間性をより高めていくことが仕事のダイナミズムであると改めて実感した。
以上

と、今回は、社内における私の報告書をリアルな形で皆様に共有致しました。

ドームは国境を越えた商売を通じ、商品の取引だけでなく、人としての営みをより豊かにしていきたい、そんな風に思っております。最高の物を最適な方法で調達することはもちろん、グローバルな視点で情報や価値の共有・流通、協業を目指してまいります。思考と行動の国境を外し、広く、大きく考える。それがドームにおける三大主義の一つ、世界連携主義の本位です。

かつて、社内冊子で「ドームは現代のシルクロード」と称したフレーズを書いたことがあります。古代の交易の道として知られるシルクロードは、商業という経済活動に貢献しただけでなく、商売を通じ、人々の欲望や駆け引き、信頼や友情など様々な文化の再配分をする、という大きな役割を担いました。ドームは「現代のシルクロード」として、これからも日本さらには世界の発展に貢献できるよう邁進してまいります。


【余談】バー地獄
ドーム幹部の間で、"バー地獄"というちょっと穏便でないタームがある。要は、「アメリカ人とともにバーで時を過ごす」ことを指すのであるが、ここでは文化の壁の一例として多少の説明をします。

アメリカ人、欧米人というべきかも知れないが、彼らは俗に"バー"が大好きである。このバー、基本的にスタンディング、大音響で音楽が流れ、ひたすら立ち飲みとたわいも無い会話を永遠とする場所である。

我々、日本人は居酒屋文化、静かなBGMに掘りごたつ、しみじみとした会話の中で面白いネタを披露していくのがその基本であるが故、この立ち飲みスタイルは大変疲れる。おまけに、皆、酔っているし、音楽はうるさいので、日本人である我々との会話はほぼ成立しない。からかっているのか、仕事の話をしているのか、大筋すら分からないまま、ニタニタ笑って「チァーズ!」としているケースがほとんどである。

そして、それが何故か永遠と続く。我々がいても何の足しにもならないはずだが、やはり空気上、途中帰宅が良くないことだけは万国共通らしい。従いまして、バー地獄...

バー地獄に際し、私の流儀として、根性決めて自ら「石」になるというのがある。何時に終わるのかなあ... あー、何の話をしているんだろう... などなど、人として湧き出る感情を全て捨て去る。そんな風に、意思をもって意思を捨て、石になる...ことも異文化コミュニケーションにおいては大事な側面であることは間違いない。反対に、彼らが日本に来たときには?? と思うことも多々あるはずだから。酔っ払った上司の意味ない説教に付き合う時も石に変身するのは精神衛生上、使えるテクニックでもあるので敢えて披露申し上げました。

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