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社長コラム:PRESIDENT’S COLUMN

vol.034サンマ、若者、読書の秋

「秋」といえば、下町育ちの僕は間違いなく秋刀魚と答える。夏の終わりが近づくと秋刀魚を思い出し...魚屋さんに秋刀魚が並ぶと本格的な秋の到来を感じる。子供の頃、この時期の食卓は秋刀魚が高頻度で現れる。小骨など魚独特の食べづらさ、ハラワタの苦さなどがあって「また秋刀魚ぁ...」と、食傷気味。

それが今ではどうだろう。3日に一度は確実に秋刀魚を口に入れているのではないだろうか。散歩の帰り道、どこからとも無く立ちこめる塩焼き秋刀魚のあの香り...ちょっと回り道をしてスーパーによって、秋刀魚を一尾。百円もしない。塩を軽く振って、グリルで10分程度。

「んー、美味い。」

子供の頃に苦手だったハラワタの苦さも血合い部分の渋さも、今となっては味の深みを彩る重要な要素。頭の根元から尾ひれギリギリまで、微妙に変わる味わいはステーキなどの大味な食材とは確実に一線を画す。日本人が独自に持っているであろう繊細な味覚に慎ましやかに訴えかけてくる。

おまけに...秋刀魚は必須アミノ酸をバランスよく含んだたんぱく源、そして味わい深いその脂には不飽和脂肪酸であるDHAやEPAなどが豊富に含まれる。そう、DHAはいわゆる頭の良くなる栄養素とも言われる。日本が世界第二位の経済大国でいられるのも、この秋刀魚のおかげなのではないか?? とも思えるほど、今では秋刀魚信者な僕なのである。

秋刀魚のお話はさて置き...

読書の秋でもある。

先日、当社新卒の社員と食事をした。また、来年度の新卒者・採用の面接を少し前まで行なってきた。社会に擦られていない、若者との会話を通じて感じたことが二つあった。


(1)案外としっかりとしているな。

(2) 純粋過ぎ、近視眼的な視野しかなくて、大丈夫かな?

という事。
よく、今どきの若い者は...などと言う"元若者"がたくさんいるが、元々僕はそう思っていない。僕らの時代は「新人類」なんて言葉があったし、戦中生まれの親父の世代も「カミナリ族」や「みゆき族」など、伝統的時代の流れに逆らって生きる若い力は存在した。使っているツール...携帯? バイク?ゲーム? ロックンロール? ヒップホップ?...の違いにより、若者達が巻き起こす社会現象はそれぞれ異なってくるが、大人には理解の出来ないエネルギーと発想力を若者は自然に持っているものだ。100%親に依存しなければ生きて行けない幼年時代から、自立に向かう青少年の巨大なエネルギーは太古の昔から人間に組み込まれている大自然の摂理の一部なのではないか...と、自分を振り返ってそう思う。

最近は、引きこもりや運動離れなど、若者のエネルギーがやや違う方向へ向かっているやに感じられるが、否否、そんなことは微塵もなく、皆、燃え滾るような熱い自立へのエネルギーを迸らせながら、未知なる社会人・給料取りという新たな生物への脱皮に向け一直線に生きている、そんな風に感じる新卒前後の若者達であった。

反面、感じられたのがその燃え滾るエネルギーの行き場所である。
「秋のXX大会に向けて」

「絶対に1部に上がりたい」

「社会人になってもXX(自分のやっているスポーツ)はずっと続けたい」
などなど、運動バカ? と思えるセリフを堂々とぶつけてくる。うーん...些かスケールが小さい。

大学まで出させてもらい、親のすねをかじりながら運動部に所属し、日本一を目指して真剣に頑張ったのであれば...なんで社会人で日本一を目指さないのだろうか。"俺が日本を救う!" と思えないのであろうか? 本来、社会人でどれだけの人間になれるか?社会にどれだけ貢献できるか? そんな事を学ぶのが学校ではないだろうか。学校行事の延長に拘り続けて社会を支える人間になれるのであろうか。
少年よ、大志を抱け。
荒れ狂う台風に恐怖を抱き、地平線から登ってくる太陽に畏怖の念を抱く。
四季の中で移り変わる人の営みの中、自身が自然の一部であることを緩やかに自覚する。
広く青い海に向かって叫べ!

緑に染まる山々を駆け登れ!

強い向かい風に逆らって走れ!
大自然に向かい、自分のエネルギーをぶつけてみよう。
そして、大自然の中の自分、小さい自分を心から感じてみよう。
...そして読書をしよう。
歴史上の大人物、自叙伝、伝記、そんな物を読んで欲しい。歴史上の偉人から直接指導を受けることなど出来ないが、活字を通じてなら少しでも触れることができる。

エジソン、ナイチンゲール、ベートーベン、ヘレンケラー、ベーブルース、キュリー夫人、宮本武蔵、野口英世、本田宗一郎、三国志、太閤記、篤姫、竜馬がゆく...等など。

感受性の豊かな時期、自立していく過程の中でそんな書物に触れ合って欲しい。掛け替えのない財産になるだろう。

そして、私心なく天下国家を語るくらいのスケールの大きさを持とう!

スケールならいくら大きくても、誰に迷惑をかける訳でもない。「歴史上の偉人達を自分のライバルとする」...若者だけが持つ事が出来る宝物であり特権だ。

秋刀魚の到来で、秋を感じる。こんな小さな秋刀魚、一体どこから泳いで来たのだろう。あと何度この秋刀魚の到来を楽しむことが出来るのだろう...
秋の夕日に照る山紅葉
濃いも薄いも数ある中に
秋をいろどる楓や蔦は
山のふもとのすそ模様 
子供の頃、何の気無く歌っていた歌。歌っていた当時の情景や肌寒さが思い出され、心に何かが染み渡る。

大自然の中、ほんの一瞬の命。

秋刀魚を食べ、読書をし、次代を背負う若者と話す。

普段と変わらぬ生活の中、秋の到来と共に、次の世代の事を真剣に考える自分、大自然の中に組み込まれている自分を感じる。そして命あること、仕事や仲間に恵まれたことに心から感謝する次第です。

頑張れ若者!

頑張れ俺!

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