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社長コラム:PRESIDENT’S COLUMN

vol.027参加型スポーツ

最近、ゴルフを始めた。36歳になって始めた、といったらちょっと遅い?んん、このくらいから?うーん、いずれにせよ、微妙な年齢からのスタートである。今まで、趣味といえば99年から開始しているウエイトトレーニングくらい、あとは・・・趣味が仕事、仕事が趣味?となっていた。何とも幸せな・・・ないしは不謹慎な響きも感じられるかも知れないが、もともとスポーツが好きで、そして「スポーツを通じてメシを食いたい!」と思っていたからそれはそれで自然な流れ?とも言ってしまいたい気持ちである。

そもそも、スポーツはもう十分すぎるほどやった、高校・大学時代に。そして、プロのある競技ならまだ続けていた可能性もあるが、スポーツで、しかも現役選手としてメシを食うことなど、当時の僕にとってはあまりにもかけ離れた世界だった。もちろん、好きなことを存分にやって、生活は二の次・・・という生き方もあるだろうが、22歳の将来の希望にランランと燃えていた僕にとってはとにかく大学時代に完全燃焼し、そしてそれを財産にビジネスの世界で頑張ろうと思い、必死になっていた。

大学四年のとある大事な試合前、最も尊敬するコーチの一人から、

「お前ら、今日の試合で燃え尽きろ。いいか、社会人になったらもうこんな思いは出来ないぞ。一生の思いを込めてこの試合にかけろ!」

という言葉を頂いた。今でも尊敬しているコーチからの言葉であるが、試合前に燃えに燃えていた僕にとって・・・否、燃えていたからこそ、とても素直には受け入れられない妙な違和感があった。心にすっと落ちてこなかった。

「ってことはこの22歳の瞬間が人生の頂点ってこと?そんな人生じゃつまらない。俺はこの瞬間のためにスポーツをやっている訳じゃない。自分を成長させるために必死に頑張っているんだ」

と、感じていた自分がそこにはいた。確かにスポーツにおける動物的で奮い立つような興奮はもう二度と味わえないかもしれない、そしていつでも自分が「正しい」ということを証明している気分にさせてくれるスポーツは本当に魅力的であるし、人格を上のレベルに引き上げてくれるものであると確信もしていた。大きな試合、何万人もの観衆、テレビ中継、試合後のインタビュー、雑誌や新聞に掲載される日々・・・確かに気持ちの良いものであるが、そんなモノを目的にスポーツに携わったことが無かった。

自主的でハードな練習に徹し・・・と自らハードな練習を標榜している高校のクラブに入部したのは自分への挑戦、そして大学まで続けたのは自分との堅い約束のためだ。あくまでもきっかけは自分の成長、そして長く続く人生において、若いうちに鍛えなくてはならない自分がそこに見えたからだ。甘い自分、弱い自分を鍛え直すのが僕にとっては最大で唯一の目的であった。スポーツでも、仕事でも、人格形成においてでも、多少の自己陶酔やナルシズムは必要であろうが、行き過ぎるとそこで人生がストップしてしまうし、下手したら人生そのものが瓦解してしまう。

もちろん、スポーツへの携わり方は人それぞれであろうし、僕の考えや経験が正しい、と主張するつもりは全く無い。しかしながら残念なことに、現在のスポーツ業界、特にアマチュアスポーツの世界では選手、チーム、そして団体や連盟などでさえも私物化している傾向が強い。今、盛んに問題になっている道路公団をはじめとする国家が運営する業界関連団体ですらそうなんだから、仕方が無いとも思う。ただ、僕はそんな世界に居残りたくはなかった。いや、むしろ社会人になって一生懸命働いて、力を付け、そんな世界を外側から改善したいと強く思った。そしてその思いが活力となって、ドームを設立した。

設立後、9年を経て、今年は3つのトライアスロンの大会、そしてJGTOのゴルフトーナメントへの協賛を行なった。ゴルフの協賛では「アンダーアーマーKBCオーガスタ」としてテレビや雑誌など多くのメディアに「アンダーアーマー」の名前が登場することになり、本当に嬉しく、また子供のようにワクワクした。

このトライアスロン大会とゴルフトーナメントの協賛をきっかけに、この二つの競技を今年、再び選手として始めることになった訳であるが、やはりスポーツの素晴らしさを再確認することができた。私の携わってきたスポーツ、それはいわゆる体育会系のスポーツであり、一種独特の排他的なムードを持つ、外から見れば異様な世界とも言える。もちろん、根っからの体育会系の僕にとって、今でもどんなクラブであろうがプロチームであろうが、ロッカールームなどの空気は大好きだし、すぐに馴染んでしまうのだが、一般の人々にとってこれほど近寄りづらい雰囲気はないであろう。

そんな少し偏ったスポーツとの関わりしか知らなかった僕にとって、特にゴルフトーナメントの協賛の印象はとても深い。DNSサプリメントの契約選手、神山隆志プロ、そして矢野東プロの熱心な誘いを受け、今年のゴールデンウィークに始めてコースデビューを果たした。(トッププロから熱心に誘われるのは本当に恐縮でありましたが・・・)彼らは本当に熱心に指導をしてくれたばかりか、ゴルフの楽しさを真剣にといてくれた・・・僕のようなド素人に。「一生できるスポーツですよ」「実は激しいスポーツですよ」「頭使うスポーツですよ」「社交的で仕事にも役立つスポーツですよ」「海外にいっても気軽に出来るスポーツですよ」等々・・・。まさにもったいない言葉のオンパレードであった。ただ、仕事が趣味、な僕にとって「仕事にも役立つ」というのが殺し文句となって、せっかく協賛もすることだし、この際、始めてみよう!と一念発起して、ゴルフを始めた。

競技としてのスポーツはもう十分やった・・・でも・・・当たらない、飛ばない、入らない・・・やっぱり"雄"の魂に火がともる・・・

ただ、こうした参加型のスポーツに参加して、窓口の広い、フトコロの深いスポーツに36歳にして初めて触れ合った気がした。例えばアメリカンフットボールやラグビーは中年の男性がそうそう簡単に参加できるスポーツではない。一方フットサルが最近注目を集めているが、ゴルフはまさに私のような中年の男性が始められる参加型スポーツの王道であろう。これがスポーツ本来の姿ではないか・・・この業界にて、自分は「後輩たちの環境をよくすること」を大きな目標に働いてきた訳だが、やはり自分にもまだまだスポーツマンの血が流れていることを確認でき、また老若男女問わず一緒に運動する、という新しい楽しみも感じることができた。

いささか遅すぎる参加型スポーツデビューであるが、これから歳を重ねていっても十分に楽しめるスポーツと出会えた事は自分の人生を更に豊かに彩ってくれると確信する。
・・・ただ、スコアといえば・・・ただ恥ずかしく、人の3倍くらいの運動量をこなしており、実際はとても楽しんでいる状態には程遠いです・・・

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